【コラム3】地盤沈下の苦しみ

今日は昭和南海地震による地盤沈下のお話です.

四国防災八十八話第22話には,徳島県阿南市橘町鵠地区の「地盤沈下の苦しみ」というお話にがあります.


昭和南海地震(昭和21年,1946年)では,津波被害だけでなく,地震による地盤沈下の被害も甚大でした.

このお話によると,徳島県阿南市橘町鵠地区では地震前より50㎝ほど沈下したといわれています.

沈下分を取り戻す嵩上げ工事は,すべて町民により人力で行われました.

数キロ離れた山に行き,スコップで表土を取り除き,山土をツルハシで掘ります.

そして土を大八車で運搬するという,現代では考えられない全て人力での作業でした.

また作業は氷が張る水中での作業で,本当に大変だったことと思います.

工事は昭和28年,1953年ころまで続きましたが,沈下分を取り戻すことはできませんでした.


地盤沈下は阿南市だけでなく,沿岸部を中心に,徳島県では徳島市,鳴門市,小松島市,海部郡などでも起こっており,一方,高知県室戸岬では86㎝程度隆起した記録が残っています.




南海トラフ巨大地震では2種類の地盤沈下が起こると言われています.

1つは断層がずれることによる広域の地盤沈下,もう1つは液状化による地盤沈下です.


液状化しやすい場所とは,砂と水を多く含んでいる地盤で,具体的には川や池,海を埋め立てたような場所や,海から近い海抜の低い場所になります.

国土地理院 電子国土WEBのVectorというサイトで標高高さや過去の土地の成り立ち等を確認することができますので,ぜひ確認してみてください.



四国防災八十八話倶楽部

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